QRP移動運用アンテナの詳細(1) RFMD (Ribon Feeder fed Multi-band Dipole)


マルチバンドアンテナとして知られるG5RVを変形した、300オーム平衡フィーダー(リボンフィーダー)給電の簡易マルチバンドアンテナです。簡単に設置できて、そのままの状態で簡単にQSYできます。2005年8月から使い始めましたが、設営とリグ準備に約20分、撤収は15分弱程度です。KX1内蔵チューナでは7/10/14全バンドで簡単に調整がとれます。T1を使うと3.5メガでも使用できましたが、現状の長さでは1.9メガは調整がとれませんでした。エレメントを継ぎ足す等の工夫が必要で、今後の課題です。なお、高い周波数(例えば14メガ)では高調波アンテナとして動作しますから、若干のゲインが期待できます。

使用感ですが、7メガ、10メガともに快適です。フルサイズDPに近い能力がありそうな感じです。3.5メガは比較するアンテナを持っていないのですが、2、3エリアくらいまでは2.5Wでも問題なく飛びましたので十分な実力がある気がします。飛びもいいですし、自動チューナーがあればQSYも簡単に出来ますので、気に入っています。

別ページに記載した10m長GPとの比較では、国内交信の場合、RFMDの方がQSBがゆったりしている分、使いやすい気がします。

このアンテナは、最初は、JJ1VKL原岡さんのサイトで紹介されている「同調フィーダー給電マルチバンドダイポール(MDRF)」と「同調フィーダー付きVダイポール+ATU」にヒントを得て作りました。その後、気付いてみると、G5RVとほぼ全く同じコンフィギュレーションだったことに気付いたわけです。有益な情報を公開しておられるJJ1VKL原岡さんにお礼申し上げます。

なお、RFMDと同様なアンテナは、既に何人もの方がお使いです。私の知る範囲では、JE2WYA佐藤さんやJP6VCH松木さんがお使いになっておられるようです。

移動運用では、このほか、本アンテナの小型版のRFMD-S、ロープロファイルの10m長GP、JP6VCH松木さん開発の小型高性能アンテナ(VCHアンテナ)も使っています。詳しくは各ページをご参照下さい。



盛岡市中央公園でテストしているところです。グラス竿を使って逆V型に上げています。

この例で使っている竿は7m長のグラス竿です。この日は風があったので竿がしなっています。7m竿の場合も10m竿の場合も、先端の1mほどは柔らかいので使わず、1mほど下に給電点をくくりつけるとよさそうです。


使用する線材です。フォールデッド型ではありませんので、普通の撚り線のエレメント(片側15m長、両側で30m)と300オーム平衡フィーダーが10mです。エレメントの両端は、卵ラグ(給電点側)とギボシ(エンド側)にしてありますので、ギボシ接続でエレメントの延長が可能です。

300オーム平衡フィーダーは、近場では結局手に入らず、楽天市場のJoshinから通販で購入しました。この時、入手可能な長さが10mだったため、これに合わせるエレメント長として、7/10/14全バンドで電圧給電にならない長さと言うことで片側15mにしました。

ハシゴフィーダーのような同調フィーダーを用いるアンテナの基本は、まずエレメント長を決め(ダブレットの場合1/2λとか)、その後で、電圧給電にならないような長さに同調フィーダーの長さを決める、ですが、ここでは、入手可能なフィーダーに合わせて考えました。WARCバンドも含めたマルチバンド対応にしようとすると、1/4λや1/2λの整数倍にはなりませんので、やむを得ないのではと思っています。

なお、長さを考える際、300オーム平衡フィーダーの短縮率を考える必要がありますが、90%ほどらしいので、とりあえず無視しました。結果オーライでしたので、このあたりは多少ラフでもいいかも知れません。

平衡フィーダーの給電点側はアクリル板を加工して作ったスペーサーで、リグ側は、平衡/不平衡変換のためのコモンモードチョークを入れてあります。

【追記】この、アンテナ線片側15m、平衡フィーダー10mというのは、期せずして、G5RVと同じ長さでした。G5RVの場合、平衡フィーダーの下端に4:1バランを付け、その後に20m以上の長さの同軸ケーブルをつないぎ、チューナで整合を取って使用することになっています。同軸の長さは短くてもかまわないのですが、20m以上の方が整合が取りやすいとのことです。偶然とは言え、同じ長さだったのには驚きました(2005年10月29日)。


給電部の詳細です。

フィーダーの心線は卵ラグでアクリル板にネジ止めしてあります(蝶ナットの下になって見にくいですが、バネ座金と六角ナットで締め付けてあります)。

エレメントは、蝶ナットをその都度外して取り付けます。こうしておくとかさばらないので取り扱いが楽です。

アクリル板についている麻紐はグラス竿に縛り付けるための紐です。


蝶ナットを外したところです。フィーダー線が六角ナットでアクリル板に取り付けられているところがよくわかると思います。


給電部をグラス竿に縛り付けたところです。

麻紐をぐるっと巻いて蝶結びにし、その上から、衣類用ゴムひも(いわゆるパンツのゴム)をたすきに巻いて蝶結びにしておしまいです。これで、たいがいの強さで引っ張っても落ちてきません。


エレメントを取り付けたところです。フォールデッド型ではありませんから、エレメントは単線です。

エレメントの端には卵ラグを取り付けてあり、一旦蝶ナットを外してラグを入れ、蝶ナットで手締めして終わりです。


エレメントを取り付けた後で、エレメントを展開するところです。竿を延ばす前にエレメントを引き延ばしておいた方が、後の作業が楽のようです(エレメントがこんがらない)。

エレメントを引き延ばしたら、グラス竿を延ばして高くします。イメージは最初の写真の通りです。


エレメントのエンド側です。アクリル板を加工したスペーサーに麻紐を通して引っ張っています。紐の固定は、手近な木などを使います。エレメントが極力木の枝などに接触しないよう方向を選びます。金属物との接触は電波のロスになる気がしますので、最大限避けています。

エレメントはアクリルのスペーサーに笛巻きで止めていますが、端にギボシをつけてありますので、1.9メガで使う場合などにはエレメントの延長が出来るようにしてあります。


エレメントエンド側の展開がわかるように撮ったつもりの写真です。

2005年9月11日の八幡平市移動運用ですが、前週の八幡平市移動運用と同じ場所です。グラス竿は10m長を使っています。

この日は、両端に10m長のエレメントを追加してみました(ギボシ接続で追加。片側の全長は15m+10m=25m)。1.9/3.5/7の3バンドで使えるようになることを期待していたのですが、T1では7メガは簡単に調整がとれましたが、3.5はSWR3くらいまで、1.9は全くダメでした。KX-QRPでは、3.5はSWR1.5まで落とせましたが、1.9はやはりダメ。机上の計算では、うまく行くはずだったのですが、猿知恵でした。考え直して再挑戦せねば、というのがこの日の結論でした。


KX1につなぎ込んだところです。フィーダーを含む全アンテナシステムとの整合は、KX1内蔵のチューナーで行っています。

KX1で運用可能な7/10/14全バンドで問題なく整合がとれましたので、簡単にQSYできます。これは実際運用する際大変便利なことですね。

3.5メガの運用をする際は、FT-817にT1をかませて使いました。

KX1の内蔵チューナーに限らず、手持ちのチューナーは全て不平衡型ですから、平衡フィーダーを直接つなぎ込むとコモンモード電流が発生してしまいます。これを阻止するため、フィーダーとチューナーの間にコモンモードチョークを入れてあります。

今回はQRP専用ですので、FT-82-77に、アンテナエレメントに使った電線を6回巻いたチョークを用いました。巻き数は、これ以上は巻けなかったのでこの回数、と言うことです。77材は43材に比べてμが高いので、この巻き数でもそれなりの阻止インピーダンスになっていると思っていますが、気休め程度かも知れません。まぁ、ないよりましでしょう。

かなり長時間運用してもコアからの発熱は感じませんでしたのでこの大きさのコアで問題ないと思います。QRPですからね。

なお、これはリボンフィーダーを使うことによる宿命なのですが、雨が降るとフィーダーの特性が変化するため、チューナーによる整合がずれてしまい、再調整が必要です。夜露に濡れた場合も同様でしょう。私も、2005年9月4日の八幡平市移動運用の際、これを身をもって感じました。見かけ上SWRが悪化しますので、リグの保護装置が働き、送信出力が低下します。これに気付いた段階で再チューンを行いましたが、雨などで濡れた場合は、早めに再チューンするのがよいのでしょう。また、雨や夜露で濡れるとフィーダーでの電力ロスも増えるとのことです。手軽なアンテナでの限界と言えましょうか。


電源も含めた、最近の移動運用セットです。

電源は、3.2Ahの鉛シールバッテリーと定格充電電流が250mAの太陽電池パネルです。この太陽電池は、A4サイズで持ち運びに便利ですが晴天であれば、実測で200mA以上の充電電流が流れるので非常に便利です。

なお、この電源システムはFT-817をよく使っていた時からのものです。FT-817は受信時消費電流が250mAも流れるため、しっかりしたバッテリーや充電用太陽電池が必要でした。現在のメインのリグであるKX1は、受信時消費電流が約40mAと少ないため、晴天の時だと、太陽電池からの充電電流が多すぎてバッテリーが過充電気味になる場合があります。このため、通常、ほぼ常時、バッテリーの電圧をテスターで確認しています。

(追記)現在感じているところでは、太陽電池併用であれば、バッテリはもっと小さいもの(例えば2.2Ahとか)で十分かな、という感じです。軽くなるので、買い換える場合は2Ah級のより小型のものにするか、一気にエネループ10本をケースに入れたものにするか・・・と言うところです(2006年10月15日追記)。

以上、ざっととりまとめてみましたが、まだ不明な点が沢山あるかと思います。QRP-NETのRFMDスレッドで問い合わせていただければ、更に加筆します。では。


★追記★KX1のページにも書きましたが、KX1に3.5メガを増設しました。そこで、KX1内蔵チューナでRFMDが3.5メガでも整合できるか試してみましたが、SWR3台までしか落ちませんでした。そこで、うまく落ちない要因を考えたところ、3.5メガにおけるRFMDのインピーダンスが整合範囲よりも低すぎることが考えられました。そこで、1:4ステップアップトランスを作ってチューナ入口に入れたところ、これが正解でした。3.5、7、10、14メガ全てのバンドで1.0〜1.3で整合できました。トランスは、FT-82-77に屋内電話配線用平行ビニル線を8回巻いただけの一番簡単なものです。次回は、このトランスで10m追加エレメント時や21m追加エレメント時に1.9、3.5、7メガの3バンドがT1で整合できるかどうか試してみる予定です(2006年10月8日追記)。

2006年10月15日に写真を撮り直したので追加しました(2006年10月15日)。


1:4ステップアップトランスをRFMDとKX1の間に入れて使っているところ。RFMDのコネクションはRCAプラグで統一してある。パワーが少ないのでこれで十分です。


1:4ステップアップトランスのクローズアップ
FT-82-77に屋内電話配線用平行ビニル線を8回巻いてあります。


ダミーロードとアンテナアナライザで1:4動作の確認。18メガバンドまでは1:4で動作していました。それより上の周波数ではステップアップ比が下がりますが、50メガバンドでも1:2以上になっていましたので、それほど周波数特性が悪いようではないようです。



前回(2005年9月11日)の実験では、オリジナルのRFMDに10m長のエレメントを足しだけでは1.9メガに使えるようになりませんでした(まずいことに、3.5メガでも調整がきかなくなってしまいました。7メガはよかったのですが・・・)。

そこで、リベンジ実験を行いました(2005年9月18日)。今回は、21m長のエレメントを継ぎ足しました。すなわち、オリジナルの15m長エレメントに加えて21m長ですから、片側のエレメント長は合計36mになります。

今回は、これにT1をつなぎ、FT-817からの信号で調整がとれるかどうかテストしました。結果は、1.9メガではSWRは2.0まで落とすことが出来、なんとか実用範囲になりました。7メガも全く問題なく使用できました。しかし、今度は3.5メガがT1では調整がつきませんでした。感じとしては、KX-QRPでなんとか調整できそうな気がしますが、この日はKX-QRPは持参しませんでしたので、後日確認が必要です。

なお、3.5メガが苦しいかも知れないと言うのは、机上の検討でもあらかじめわかっていました。これは、フィーダーを加えた長さがちょうど半波長よりほんの少し長いだけなので、チューナー入口がかなりの程度電圧給電的になると予想されたからです。これが今回は予想通りとなってしまいました。

このように、とりあえず、21m長エレメントを追加することにより、なんとか1.9メガにQRV出来そうな目処が立ちましたが、相変わらず、7/3.5/1.9を1本のアンテナでクイックQSYするというのはできない状態です。これらの3バンドを運用する場合は、当面は、オリジナル状態で3.5メガから上を運用し、1.9を運用する時に、21m長エレメントを追加する(その状態で時々7メガにもQSYする)、といった形態での運用なりそうです。

次回は、(1)チューナー入口に4:1バランを入れてみる、(2)フィーダーを5mほど延長してみる、等してみようかと考えていますが、下手な試行錯誤を繰り返す前に、MMANAでシミュレーションをやってみて、10m長のフィーダーという制約の中で、1.9/3.5/7メガ3バンドに最適なエレメント長を探索するとかも必要かなと思っています(じつはMMANAを使ったことがないので、慣れるまで時間が掛かりそうですけど)。

なお、この写真は、データ取得が終わった後で、JA0VTK遠山さんがEQT-1で7メガを運用しているところです。7メガは高調波アンテナになりますから、若干ですがゲインが期待できます。使用感は、本実験の直前まで使っていた、同じ高さのフルサイズ半波長逆Vより良く聞こえる気がするとのことでした。


追加エレメントの効果を確認中です。T1でチューンがとれてもとれなくても、その都度MFJ-269でSWRやリアクタンスを確認しました。MFJ-269は、周波数、SWR、インピーダンス、リアクタンスが同時に読めるので、アンテナ実験の際は大変便利です(移動運用に持ち運ぶには適しませんが)。


延長エレメントの端からグラス竿方向を見た写真です。エレメント長36mになっていますから、ずいぶん遠いのがわかると思います。


延長エレメントの接続部です。

ギボシでエレメントをつないでいますが、ギボシに引っ張り力がかからないよう、スペーサー同志を麻紐で簡単に結んでいます。


延長エレメントの端には麻紐を取り付け、手近な立木に結わえています。結わえ方は、テントの張り紐と同じように、輪を作って2回通すだけです。長さの調節が簡単に出来ますが、張力がかかっている間はずれません。取り外す時も簡単です。覚えておくと便利な結わえ方です。


反対側は、手頃な立木がなかったため、遠山さんの自転車を置いてそれに結びました。

片側36m長、両側で72m長のエレメントですから、設置はどこでも出来るというわけではありませんね。どうしても設置できない時は、10m長GPの出番です。


おまけ(なぜこのグラス竿は格安だったのか・・・)


私が使っている7m長のグラス竿です。かなり以前(少なくとも7年以上前?)に洪新工業(だったかな?)(現、アーリーハンターズ?もうなくなった?)から買ったものですが、格安でした。


これが竿の名前です。「SUPER青苔720H」と書いてありますね。


ケースから竿を出して並べてみました。なんて書いてありましたっけ?? SUPER青苔・・・ でしたよねぇ・・・

えっ!! あぇっ??!! なんか違いませんか???

そう、本体には「USPER青苔」と書いてあるではありませんか!! これじゃぁ、まともなお店には卸せないわけです。どおりで格安だった訳がわかった気がしました。私は、使い物になるのであれば、安いのは大いに結構なので、こんな誤記は全く気になりませんが。Hi


トップページに戻る  RFMD-Sのページへ  10m長GPのページへ  VCHアンテナのページへ