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SR-7は、アイテック電子研究所から販売されている7メガCW、SSB受信機のキットです。簡単なキットですが、そこそこの受信性能があることから、初心者向けキットとして良く知られています。これを交信に使うなんてことは考えてみたこともないかも知れませんが、やってみると結構使い物になるものです。ここでは、交信の際の使い勝手向上のために行ったいくつかの改造についてご紹介します。

1.SR-7SP(5素子CWフィルタ、IFアンプ増設、フロントエンドミスマッチの解消)
2.以前行った改造(BFOオンオフSW増設、ヘッドフォン端子増設、ノイズフィルタ増設)

CQ誌2006年2月号に掲載された改造記の元原稿(一部加筆修正あり)はこちら



現用中のSR-7SP(私風改造版SR-7のこと)。組み合わせている送信機はQP-7改(1W、VXO化)です。

これらとルーフタワーに上げたロータリーダイポールの組合せで、100mW級のQRP局と沢山交信できています。


1.SR-7SP(5素子CWフィルタ、IFアンプ増設、フロントエンドミスマッチの解消)

(1) SR-7と改造の経緯
 SR-7は、アイテック電子研究所から販売されている7メガCW・SSB用受信機キットです。これは、LA1600というAMラジオ用ICで主要な機能を実現していることから、自作入門には丁度いい手軽なキットであり、QRPerに限らず、一度は作ったことのある方は少なくないようです。私も、2001年頃からこれを使っています。単三2本で長時間動作するので、最初はBGM的ワッチ用受信機として利用していましたが、QRP局も意外によく聞こえることから、QRP交信に利用することを考え、2002年頃からQP-7と組み合わせて交信に利用してきました。
 VFOの安定度が思いの外良く、20分程度のウォーミングアップの後は、非常に安定した受信ができます。これまで、この組合せで200交信以上していますが、そのほとんどが2way QRP交信です。送受信の切り替えはスナップSWで手動という原始的な方法ですが、交信するのが一番楽しいリグです。
 オリジナルの状態では、感度は確かに高級機(例えばFT-1000MP)と比べればやや劣りますが、JK1OLP當銀さん(100mW出力)との交信に成功したこともあります。手軽なキットであることを考えれば、非常によくできた受信機だと思って愛用してきました。ただ唯一の難点は、内蔵のIFフィルタが6kHz幅(セラミックフィルタ2段)のため選択度が悪いことで、QRMに弱いことです。AFフィルタ(FCZ #163Bパッシブフィルタ+LM386S自作アンプ)を併用していましたが、IFフィルタ帯域内に強力局が現れてしまうと、AGCが効いてしまい、目的局(多くの場合QRP局)が弱くなってしまって了解困難になることが少なくありませんでした。
 この点をなんとかしたいと思っていました。JA9TTT/1加藤さんが455kHzのセラロック発振子を使った「世羅多フィルタ」を開発されましたので、それを組み込もうと思いました。TTT加藤さんからセラロックを沢山頂きましたので、発振周波数の選別をせねばと思ったのですが、しばらく時間が経ってしまいました。そうこうしているうちに、JA3BNT安井さんがこの改造を実行され、その様子や結果がQRPプラザやQRP-NETで披露されました。これは大変参考になり、勇気づけられました。
 安井さんの結果では、確かに選択度は上がったようでしたが、世羅多フィルタ(入出力は50オームの設計)とIFT等とのミスマッチのため減衰が大きく、AF出力がかなり小さくなってしまったようでした。そこで、TTT加藤さんがその対策として、世羅多フィルタの前後にFCZ10M455コイルを置いてミスマッチを解消する方法をホームページで公開されました。
 なお、世羅多フィルタは、455kHzのセラロックを使った場合、中心周波数が445kHz付近になるため、BFOを455kHzのセラロックで行うとVXO化しなければならず大変です。BNT安井さんは445kHzのセラロックを入手され、それをBFO用に使用され成果を上げられました。幸運にも、私はこの445kHzセラロックをBNT安井さんからいただくことができました。これで準備は万端整ったのですが、またしばらく時間が経ってしまいました。

(2) 最初の改造(5素子CW用世羅多フィルタの装着)
 私もようやく時間が取れるようになりましたので、世羅多化改造を行うことにしました。TTT加藤さんのサイトの解説によりますと、フィルタの性能を設計値に近づけるには、まずはセラロックの選別(帯域幅の1/10以下の周波数偏差。無論偏差は小さければ小さい程良い)、コンデンサの精度(5%級かそれ以上の精度)だそうです。
 455kHzのセラロックは、ローカルのJH7VNR大木戸さんが、プロ規格の周波数カウンタを使って選別をしてくれ、最大周波数偏差23Hzの5個ペアを使うことができました。★50個のセラロックからは、5個ペア4セットを得ることが出来ました。選別結果の例はこちら。ローカルのお仲間と共同で購入、選別を行うのがいいでしょうね(2006年1月7日追記)★
 コンデンサは、5%級が秋葉原ラジオセンター内の三栄電波で入手可能であることをJH5ESM武藤さんから教えていただきましたので、出張のついでに立ち寄ってみたところ、2%級ポリプロピレンフィルムコンデンサが売られており、これを使うことができました。1個110円で、普通のセラミックコンデンサよりは割高ですが、沢山使うわけではありませんから安心料と思えば高いとは思えませんでした。なお、三栄電波はWebサイト上で通販にも対応してくれます。FCZ10M455コイルはサトー電気の通販で入手しました。これらのURLは最後に一括して記載しておきます。
 早速生基板上に5素子のCW用世羅多フィルタと出力側の10M455コイルを乗せたものを作りました。素子を並べる順番もTTT加藤さんのサイトに書かれています。それによりますと、周波数の低い順に1、2、3、4、5とすると、並べる順は、1、3、5、4、2とのこと。私はこの解説に気付かず(見ていたはずなのですが節穴でした)、発信周波数を確認してもらった際の実験番号順(背番号順)に並べてしまいました。幸い、「正解」の並べ方と比べて一組入れ違っているだけで済みましたが、皆さんがお作りになる際はお気をつけ下さい。もっとも、選別した結果の周波数偏差が十分小さければ、並べる順番の影響はほとんどないはずですが。


(写真1)
●組み上げた3素子と5素子のCW用世羅多フィルタ。それぞれ、455kHzセラロック3個と5個ならびに2%級ポリプロピレンフィルムコンデンサ4個と6個で構成。コイルはFCZ10M455。セラロックに書いてある番号は、発信周波数の選別をした際の実験番号。5素子用に使った5個のセラロックの発振周波数の最大偏差は僅か23Hz、3素子用のそれは僅か10Hz。JH7VNR大木戸さんが選別をしてくれたおかげです。なお、結果的にはIFアンプを増設しましたので、これから作る方は、1枚の基板上に世羅多フィルタとIFアンプを作り込んだ方がコンパクトになっていいでしょう。★3素子の世羅多フィルタはJE2LPC梁瀬さんのところにお嫁入りしました(2006年3月3日)★




 出来上がった世羅多フィルタをシールド線でSR-7の基板上のセラミックフィルタの接続点に接続しました(セラミックフィルタはあらかじめ取り外しておきました)。また、J2のジャンパー線の代わりに信号接続用の473コンデンサを取り付けました。
 入力側の10M455は、SR-7の基板上に元からある455kHz IFT(AL7-455)を置き換えました。ここで、AL7-455は幅7mmですが、10M455は幅10mmですので、実装上一工夫必要です。私は、AL7-455が挿入されていた穴から抵抗等のリード線の切れ端を立て、それに10M455をハンダ付けしました。なお、ここは、リンクコイルの巻き数の関係上(=世羅多フィルタとのインピーダンスマッチング上=信号減衰対策上)、10M455でなければならないとのことです(JA9TTT加藤さんによる)。

(写真2)
●SR-7オリジナルのセラミックフィルタ2個とIFT1個を取り外した元基板。ジャンパー線J2の代わりに473コンデンサを取り付けた(緑色の縦長の少し大きめのもの)





(写真3)

●10M455コイルと世羅多フィルタをつなぐためのシールド線を取り付けたところ。10M455コイルは元のIFTとサイズが違うため、基板からジャンパー線(抵抗等の足の切れ端)を立てて、それにコイルの足をハンダ付けした。



 入力側の10M455を、世羅多フィルタの中心周波数である約445kHzに同調させるには、内蔵の同調コンデンサでは容量が若干不足していたようでしたので、9 pFを追加で抱かせました。一方、出力側の10M455の方は、ぶら下がる回路の内部容量等が効いたようで、追加のコンデンサを抱かせる必要はなく、コアの可変範囲内で調整できました。
 BFO用のセラロックは、BNT安井さんからいただいた445kHzでそのまま置き換えました。ちょっとトーンが低め(500〜600Hzくらい?)ですが文句なしの状態に一発でなっていました。なお、BFO周波数の微調整は、BFO発振回路の103、271、471を適当に変更することにより可能です。BNT安井さんは、470pFに150pFを追加し、700Hzほどのビートが出るようにされたそうです。
 組み上げた後、VFOのトラッキング調整を行い、受信範囲をおよそ6998くらいから7030くらいにして聞いてみました。フィルタの切れは抜群です。設計上、帯域幅1kHzとのことですが、実用上丁度いい幅に思えます。驚いたのはスカート特性で、KX1の3素子クリスタルフィルタより遙かに良く、FT-817の八重洲純正コリンズメカニカルフィルタ(YF-122C)(確か4素子のはず)と同等以上です。シェープファクタはFT-817のフィルタよりもいいように思えました。さすがに、FT-1000MP(8メガと455の2段に純正CWフィルタ装備)と比べると、スカートの切れや逆サイドバンドの漏れは落ちますが、これはしょうがないですね。逆サイドバンドの漏れに関しては、上記のようにビート周波数が低めになっているのが世羅多のハンディになっているのは事実です。なお、SR-7SPで逆サイドバンドの漏れが聞こえると言っても、599++の強力局についてかすかに聞こえるという程度で、実用上の問題は全くありません。
 このように、部品代千円ちょっとのフィルタであることを考えると、世羅多フィルタはすごいの一言です。世羅多フィルタがこれだけの性能に仕上がったのは、やはり、セラロックの選別と2%級コンデンサのおかげと思われました。しかし、オリジナルのセラミックフィルタに比べて減衰がやや大きいようで、ややゲイン不足となった感がありました。

(3) IFアンプの追加
 そんな状況をQRP-NETなどで報告していましたら、TTT加藤さんがSR-7DXという形で、RF段とIF段にアンプを増設する案をホームページで公開してくださいました。これは、RF段に2SK192ゲート接地のアンプを入れて、若干の増幅とフロントエンドのミスマッチを解消すること、並びにIF段に2SK241のアンプを入れてゲイン不足を補うものです。
 そこで、加藤さんの助言もあり、改造第二弾として、まずIFアンプの増設をしてみました。あいにく2SK241は手持ちになかったのですが、ほぼ同等の2SK439がありましたのでこれを使いました(JH7VNR大木戸さんから頂いたもの)。なお、2SK241と2SK439ではドレーンとゲートの足の配置が全く逆なので要注意です。コイルを使わない簡単なアンプですので、FCZ基板上に組み立て、世羅多フィルタと並べて配置してみました。これからお作りになる場合は、世羅多フィルタと同一基板上に組んでしまうのがコンパクトになっていいでしょう。


(写真4)
●組み込み終了後のSR-7SP。奥に見える生基板上に5素子CW用世羅多フィルタと10M455 IFT。
●その右下に2SK439のIFアンプ(FCZ基板を2列分使用)。アンプへの電源は、元基板上のジャンパー線J3にビニル線をハンダ付けして引き出した。
●世羅多フィルタの入力側(左側)から下に延びるシールド線がつながっている先は、オリジナルのIFTを交換した10M455。世羅多フィルタの中心周波数が445kHz付近であり、内蔵の同調用コンデンサでは容量が不足気味だったので、9pFを追加で抱かせてある。また、オリジナルのIFTが7mmものだったため、10M455はそのままでは入らないので、基板からリード線を出して、浮かせて取り付けてある。
●元基板と電池の間にある蛇の目基板上に、フロントエンド用に増設した7S7コイル。複同調化のためのコイルを最短距離でつなごうとしたため、写真のような空中配線になった。★下記の再改造により取り付けたトリマ(オレンジ色)とそれにパラのコンデンサが見える★
●元基板右下に見える(VRからの配線の下に隠れている)BFO用セラロックは、455から445へ交換。
●アンテナ入力コネクタ(RCAメス)の裏側に、過大入力防止用のゲルダイ×2個のクリッパをつけてある。ゲルダイはJN1NGC鈴木さんからの頂き物。




 IFTコイル等の調整をして使ってみたところ、結果は上々で、JH4QPI/1竹野さん(7L3DNX)の0.5W+DPの信号は楽勝で受信できました(2005年3月26日)。お送りしたRSTは559。ソリッドコピーです。なお、SメータがありませんからSの強さは耳の感触です。この交信の後私はQRTしたのですが、竹野さんをコールするJA5DIM林さんの100mW+2エレ八木の信号がかすかに聞こえました(419〜319/QSBといった感じ)。念のため、FT-1000MP(DSPオン、NRレベルA)に切り替えて確認してみたところ、519からピークで529といった感じでした。FT-1000MPには及ばないものの、とりあえず、なんとか使える状態になった気はしましたが、フロントエンドのミスマッチがどうしても気になっており、さらなる改善を図ってこの点を改造することにしました。

(4) フロントエンドのミスマッチ解消(アンテナコイルの増設による入力の複同調化)
 SR-7のフロントエンドは、FCZ7S7コイルを1個使っているのですが、リンクコイルをLA1600へ接続しているため、アンテナ入力は、同調側の中点タップにつながれています。この場合、アンテナ線のL分やC分の影響で同調が狂うのを避けるため、アンテナ入力には1kオームの固定抵抗がつながれています。このため、50オームに調整されたアンテナをつなぐとミスマッチとなる上、アッテネータが挿入されたのと同じになっているように思えていました。この点は非常に気になっており、以前から改善したいと考えていました。
 上記の、加藤さん考案のSR-7DX化RF段ゲート接地アンプは、このミスマッチの解消と若干の増幅を図ったものでした。ゲート接地アンプは、リニアアンプでおなじみの3極管GGアンプと同じですから、低入力インピーダンスで、この場合にぴったりです。なお、この改造を行うには、フロントエンドの7S7コイル同調側のコールド側が、オリジナルではGNDに落ちているのを、基板パターンを切って浮かし、電源につなぎ変える必要があります。
 これはこれで非常に良いアイデアに思われましたが、所詮ラジオ用のICであるLA1600の前にアクティブ素子を置いて増幅すると、混変調特性の劣化が心配されました。そこで、私は、アクティブ素子を使わない方法で入力のミスマッチの解消を図ることにしました。受信トップにFCZ7S7コイルを1個増設して複同調化したわけです。すなわち、オリジナルでは、

●アンテナ入力→1kオーム(固定抵抗)→102(セラコン:目的はDCカット)→7S7同調コイルの中点タップ/リンクコイル→LA1600

となっていたところを、

●アンテナ入力→増設7S7リンクコイル/同調コイル→6pF→元からある7S7同調コイル/リンクコイル→LA1600

としたわけです。オリジナルの状態では、ミスマッチ(とそれに伴うステップダウン効果)と抵抗による減衰で、「アンテナ入力レベル>LA1600の入力レベル」、でしたが、複同調化によってリンクコイルにアンテナをつなぎ込んだことにより、「アンテナ入力レベル=LA1600の入力レベル」とすることが出来たので、受信トップでの信号レベルがオリジナルに比べて上がったはずです。なお、この改造では、元基板のパターンをカットする必要はありません。
 コイル類とBFO注入量の再調整を行い、実際の交信に利用してみました(2005年4月3日)。JH2NYZやJR1TGT/3などの1W級のQRP局の交信がクリアーに聞こえました。これで十分実用になりそうな気がしています。まだ100mW級のQRP信号を聞く機会はないのですが、どのくらいの出来になっているのか、今から楽しみにしています。
 これでようやく一息つきましたので、この改造したSR-7を、以後はSR-7SPと呼ぶことにしました。SPは、すぐおわかりの通り、HAN Specialの略のつもりです。

(5)フロントエンドの追加改造(2005年12月4日加筆)
 さて、ここまで改造して一息つき、QRPクラブ会報にその顛末を書いて送りましたところ、早速、JA1XB石井さんから貴重なコメントを頂きました。その結果追加したのが、アンテナとリンクコイルの間に入っている68pFです(下記の回路図参照のこと)。
 増設した7S7コイルのリンクコイルに68pFをシリーズに入れたのは、アンテナ側(50オーム)から見るとリンクコイルの巻き数が多すぎるため、これを解消するためのインピーダンスマッチング用です。小型送信機のタンク回路のアンテナ整合によく使われている方法です。このコンデンサを入れませんと、7S7コイルがQダンプされた形になります。従って、この68pFは更なる感度アップにもつながる重要なポイントです。このコンデンサの有効性はJA1XB石井さんから教えていただきましたが、CirQ誌009号の石井さんの実験結果が大変参考になります。
 写真4では、この68pFはトリマコンデンサと固定コンデンサになっていますが、実験の結果、非常にブロードな効き方であることがわかりましたので、追試される場合は、ここは68pFの固定コンデンサで十分です。
 なお、リンクコイルに68pFを入れてフロントエンド初段のQをアップさせましたので、増設した7S7コイルの同調をとる際は、50オーム出力の標準信号発生器(SG)からの信号や、SWR整合の取られたアンテナを接続する必要があります。適当なランダムワイヤーをつないで調整すると最良点からずれてしまいますので、その後で整合したアンテナをつなぐと逆に感度ダウンになります。ご注意下さい。
 なお、回路図では、外付け基板に増設した7S7コイルの同調コンデンサとして、規定値の100pFに加えて15pFも併用されています。これは、入力側の68pFを入れてQを改善した後で同調がずれたために追加したものですが、複同調の結合用コンデンサ6pFが大きすぎるためかも知れません(ここは通常、同調用コンデンサの10%以下の値にする)。追試される場合は、3pFぐらいがよいかも知れませんので、必要に応じて試行錯誤なさってみてください。

 ★この追加改造をしたしばらく後のことですが、EQT-1(100mW)とも問題なく交信できました。JR3ELRとは固定局、千葉半固定、軽井沢等の移動運用などなど問題なく交信出来ています。ということで、SR-7SPはなかなか実用的かな、と思っております(2005年12月4日)★



(回路図)
今回の改造に関連する部分のみを書いてあり、他は省略してあります。オリジナルの回路図と比較して改造箇所を確認願います。★フロントエンドの再改造を含む最終的な回路図です(2006年9月3日)★




(6) 余談(アンテナコイルやIFT、BFO注入量の調整、VFOトラッキング調整)
 受信機の調整、特にアンテナコイルやIFT、BFOの注入量の調整には、「弱くて安定した信号」が欲しいところです。電離層反射の信号だと、コア調整で強さがアップダウンしているのか、単なるQSBなのかが分からないことが少なくないですし、送信機等を利用した信号だと、信号が強すぎてAGCが効いてしまい、コアをぐるぐる回してもピーク位置が分からない・・・・と言うことが多いのです。ということで、できれば、弱めの安定した信号が出せて、信号強度も可変できて、変調もかかる・・・となるとSGが欲しいところですが、アマチュアでは手が出ないですね。
 なお、変調が欲しいのは以下の理由によります。SR-7はプロダクト検波がありませんので、BFOをIF段に注入しています。このため、コイル類の調整の際には、BFOによるAGCの作動を避けるため、可能な限り、BFOの注入をゼロにしてコア等の調整をしたいところです。ところが、弱い無変調信号を使った場合は、BFOを使わないと、コイル類が離調した状態では、信号の存在がわかりにくくなる(最悪の場合、存在自体がわからなくなる)ことがあるためです。
 この「弱くて安定した信号」が何とかならないか寝ながら考えたところ、今の場合、7000〜7010kHz水晶を発振させて、それをSR-7からRF的に適当に切り離す等すればいいのでは、と思いつきました。そこで、QP-7の発振段だけ使う(送信ONにして、キーダウンしない状態)方法があることに気付きました。これなら今、SR-7+QP-7で交信に使っている状態そのままでやれそうです。
 さっそく、試してみました。通常の運用状態(ただしアンテナはダミーロードに切り替え)に、同軸切り替えSWを更に1段入れれば、それらのアイソレーション効果で、QP-7の発振段からの信号は、FT-1000MPでは丁度Sメーターがゼロの状態でした。調整には丁度いい強さであることが確認できましたので、早速これを使って調整してみました。
 水晶発振ですから、さすがに安定した信号です。しかし、変調がかかっていませんから、先ずはBFO注入量を、AGCがかからない程度の強さに調整し、IFT、アンテナコイルと調整し、これを繰り返します。その後、BFOの注入量を再調整してできあがりです。ものの数分間で簡単に調整が終わりました。
 この結果、電離層反射の信号波で首を傾げながらやった調整はだいぶずれていることが分かりました。SGがなくてうまく調整できない・・・という場合はこのような方法もあるということが分かったのは収穫でした。

★後日談★ この「弱くて安定した信号」はなかなかやっかいです。で、現在は結局、エレクラフトのキットXG1を使っていまして、7メガに関しては、受信機調整用の非常に安定した信号を得ることが出来ています。これは、ちょうどSがゼロと9になる強度の信号(1μVと50μV)を出してくれる水晶発信器ですので、これらを使って、信号強度が最大になるよう調整できます。大変便利な小物ですので、7メガ機器の自作の多い方は一つ持っていて損はないと思います。詳細はエレクラフトのホームページをご覧下さい。なお、附属の水晶は7040kHzなのですが、私はこれを7000kHzに換装して使っています。この換装にあたっての顛末を含めた記事はここにあります。このSR-7SPでも、1μVの信号はくっきりと受信できました(2006年1月8日)★後日談ここまで★

 さて、私はきちんとした周波数カウンタを持っていませんので、VFOのトラッキング調整を行う際は、今度は適度な強さ(弱い必要はなく、むしろある程度目立つ信号強度の方がいい)で、そこそこの精度で周波数がきちんと分かる信号源が必要でした。これからの信号を受信しながらトラッキングを調整するわけです。そこで、手持ちの信号源を色々試してみました。FT-817(0.5W)+ダミーロードは信号強度が強すぎてイメージも聞こえてしまい、ダメでした。一番よかったのは、RF-1(アンテナアナライザ)+ダミーロードでした。RF-1は周波数の調整がクリティカルでいまいちやりにくいのですが、信号強度は強すぎず弱すぎずで丁度良く、キャリアに妙な濁りがあるので、少し変調のかかった、ジュルジュルというようなビート音になりますから、見つけやすいのです。ハムバンド外でも発振できますので、受信範囲の調整用信号としては丁度よかったですね。ご参考まで。

(7) 最後に
 今回の改造にあたり、種々のアイデアを頂いた上、455kHzのセラロックを沢山送って下さったJA9TTT加藤さん、先駆けとして世羅多化をトライされた上、445kHzセラロックを送って下さったJA3BNT安井さん、高精度コンデンサが置いてあるお店を教えて下さったJH5ESM武藤さん、455kHzセラロックの選別をして下さったほか、いつも色々な部品を分けてもらっているJH7VNR大木戸さん、並びにリンクコイルのQダンプ改善の助言を下さったJA1XB石井さんにお礼申し上げます。


 SR-7の詳しい紹介
●CQ誌1997年3月号p.112〜118
 →開発者であるJA7CRJ千葉秀明さんによる回路の説明、組み立て方、調整方法の紹介があります。

 SR-7改造の情報ソースなど
●JA9TTT加藤さんのサイト(http://ja9ttt.homedns.org/index.html
●QRP-NET(http://qrp-net.jp/
●QRPプラザ(http://plaza.qrp-net.jp/

 部品等の入手先一覧(いずれも通販可。詳細は各Webサイト等をご覧下さい)
●SR-7の入手先:アイテック電子研究所(CQ誌の広告参照)
●2%級コンデンサの入手先:三栄電波(http://www.san-ei-denpa.com/
●445kHzセラロックの入手先:共立テクノベース店(http://techno.kyohritsu.com/
●455kHzセラロックの入手先:現品限り(http://genpin.com/
●FCZ10M455コイル等の入手先:サトー電気(http://www2.cyberoz.net/city/satodenk/jindex.html

以上(QRPクラブ会報「QRP News」2005年5月号掲載記事に加筆)

★★CQ誌2006年2月号にこの改造記が掲載されましたが、紙数の関係で一部が割愛になりました。元原稿をこちらに載せておきますので、改造を行われる際の参考になさって下さい。★★

2.以前行った改造
以下の改造は、SR-7SPへの改造の以前に行っていたものです。SR-7SPとなった現在は、ヘッドフォン用端子を除いてこれらは止めてしまいましたが、参考のため、引き続きご紹介いたします(2005年4月5日)。

(1)BFOのオンオフSWの取り付け(AMを受信可能にする)
SR-7のBFOはFET(2SK439)によるセラロック発振回路です。AMを受信するためにBFOを止められるようにする場合は、この発振を止めてしまうのが一番簡単です。BFO注入量の設定は結構微妙な調整が必要ですから、ここはいじらない方がよいと考えました。

回路図をよーく見てみましたが、BFOの発振を止めるには、ソースに入っている470Ωの抵抗を浮かせる(グランドから切り離す)のが一番簡単です。470Ωの抵抗とグランドの間にスイッチを入れるのです。実装上は、470Ωの抵抗(R14)のソース側を基板にハンダ付けした後、グランド側は浮かせたままにし、そこにリード線をハンダ付けしてスイッチのホット側につなぎます。スイッチは、小型のトグルSWを、背面パネルに穴をあけて取り付けました。SWのコールド側は最寄りのグランドに落とします。これでおしまいです。これでBFOのオンオフが可能になりましたので、AMの受信も出来るようになりました。★この改造は現在取り止めています★

(2)ヘッドフォンを使えるようにする
オリジナルのSR-7はスピーカーだけで、ヘッドフォン端子はありません。これは、SR-7のAFアンプはNJM2073を使ったBTLアンプであり、AF出力は両方ともグランドから浮いている必要があるため、コールド側がケース(グランド)に落ちてしまう構造のヘッドフォンジャックは使えないからです。このBTLアンプは、単三2本だけの電源でもうるさいくらいの音量でスピーカーを鳴らすことが出来ますので、優秀なアンプだと思います。スピーカーだけですと、BGMとして気軽に受信しているときやアイボール交信の時などは不自由はないのですが、電離層反射の2way QRP交信(=普通の交信)をするときなどは、信号に集中するため、ヘッドフォンを使いたくなってしまいます。そこで、実に簡単な方法でヘッドフォン端子を取り付けました。

使う部品は、スイッチ付のステレオヘッドフォンジャック1個だけです。これを、2芯シールド線を使ってケースの外まで引っ張り出してつないだだけなのです。前述の通り、AFアンプはBTLですから出力をグランドに落とせません。そこで、ジャックのグランド側にシールド線のシールド側をつないでスピーカーの片側に直接つなぎます。スピーカーの反対側に来ている線(AF出力)は取り外してシールド線の芯線の一つ(例えば赤)につなぎます(つなぎ目は収縮チューブで絶縁処理をします)。この線はステレオジャックの1番と2番につなぎます。次に、スピーカーの空いた端子に残りの芯線(例えば白)をつなぎ、この線の反対側をジャックの1’、2’(プラグを差すと切れる方)につなぎます。後は、ジャックの線をつないだ場所にホットグルーを盛って、絶縁処理をしておしまいです。これで、スピーカーとヘッドフォンを切り替えて使えるようになりました。コロンブスの卵のようなものですが、やってみると大変便利です。皆さんもどうぞ。

(3)FCZノイズフィルタの取り付け
FCZの寺子屋シリーズ#075Bのノイズフィルタを取り付けました。ジャリジャリ音が緩和されるとのことでした。アンプのAF出力にコアのLとCRからなる簡単なフィルタを取り付けるもので、ものの5分で出来てしまいます。私の場合、7K1CPT/1/QRPがJR9OPJ/QRPと交信するのを聞いている間に取り付け終わりました(2003年11月16日)。結果は、劇的によくなったと言うことはないのですが、心持ちノイズがマイルドになったような気がします。ダマされたと思って付けてみてはいかがでしょうか??★この改造は現在取り止めています★

SR-7の裏側:
穴から出ている線がヘッドフォンジャックをつないだ線で、小型のトグルスイッチがBFOオンオフ用スイッチです。

BFOオンオフ用スイッチの取り付け穴はドリル等で加工する必要がありますが、ケースが鉄板なので意外と簡単ではありません。しかし、鉄板ケースは磁気シールドにもなっていますので、本当はいいことですね。

ヘッドフォンジャックを取り付けた線は、断線防止と、誤接触防止のため、ホットグルーを盛りつけてあります。

SR-7の内側:
ヘッドフォン端子引き出し用の2芯シールド線のシールド側はスピーカーの向こう側端子に接続。手前側端子はアンプからの線を外して、シールド線の白を接続。外したアンプからの線には、シールド線の赤を接続(ただし、黒の収縮チューブをかぶせてあるので色は分かりません)。

基板手前側の黄色い四角形(BFO用セラロック)のすぐ向こう側から黒い引き出し線が出ているが、これが、BFOオンオフ用の引き出し線。裏面パネルに取り付けたトグルスイッチのホット側につないでいる。スイッチのコールド側は、基板の最寄りのグランドに落としている。

右手前に見えるコアは、ノイズフィルタ用のLで、基板のAF出力のところにCRと一緒に直接接続しています。

ヘッドフォンが使えると、十分実戦的になります。今朝(2003年11月16日)も、このSR-7と7003水晶固定のQP-7(1W)で、JA1AA/QRP庄野さんほか5局と交信しました。


(4)おまけの余談(SR-7のチャープ)
2003年11月9日夜のことだったと思います。K7UGAという局が7メガCWで強力に入感していました。何かの記念局のようで、CQを連呼していました。耳もいいようで、QRP局も問題なく拾っています。私もこの局をSR-7で聞きながら(BGMです)書籍整理をしておりました。が・・・・ 何だ、この局、強いくせにチャープしてるよ、と思っておりました。あんまりCQ連呼なでかわいそうに思い、呼んであげようとして(QP-7の周波数範囲外だったので)1000MPに切り替えたところ、なんと、1000MPではチャープなどないクリアーな信号で聞こえるではありませんか。1Wで交信を終え、再びSR-7で受信しながら考えてみたところ、なんとこれはSR-7のチャープだったのです。
 
SR-7は単三電池2本が電源ですが、2年ほど使いっぱなしのマンガン電池です。当然相当弱っているはずです。弱い信号を聞いている分には、AFアンプでの消費電流の変化も少ないため、電圧降下も目立たないのでしょう。定電圧代わりのLEDも効いているのでしょうから、VFOもチャープしないのでしょう。
 
ところが、このK7UGA局、非常に強かったのと、BGM代わりということで少し音量を上げていたため、信号が入るとAFアンプの消費電流が増え、このため弱った電池の電圧がドロップし、LEDを使った定電圧ではカバーしきれなくなり、VFOへの供給電圧も変化して、結果的にVFOがチャープしていたのだろうと思われました。
 
確かに、弱い信号だと同じ輝度で点灯したままのLEDが、この局を聴いているときは、符号のたびに細かく瞬いておりました(さながらモールス発光器のように・・・)。電池が弱っているため、符号のたびに電圧がドロップしていたんですね。ここまで分かったら思わず笑ってしまいました。電池は時々交換した方がいいですね。当たり前ですが・・・ おまけの余談でした。


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