QRP移動用アンテナの詳細(2)RFMD-S


エレメント長15m(片側)のRFMD(G5RV変形アンテナ)は、大変性能のよいマルチバンドアンテナなのですが、もう少し荷物の小さくなるハイキング用の縮小版RFMDが欲しいなぁと思っていました。デイパック一つで、電車・バス等の公共交通機関を使って遊びに行く際にも、かさばらず、他の乗客にも迷惑をかけずに済むようなものであり、また、荷物も軽くできて、長時間歩く等しても負担にならないものが欲しいと思ったわけです。ポイントは、グラス竿で、RFMDで使用している7m竿や10m竿を、デイパック内またはそのサイドポケットに収まるくらいの短さに出来ればと思いました。

ホームセンター等を何軒か見て回りましたが、デイパックに収まる仕舞い長さ(約45cmくらいまで)だと4.5m長が最長のようでした。しかし、これでは、給電点高さが4m未満となってしまい、いまいち不満です。アンテナ性能(飛びの良さ)を妥協するつもりはないので、給電点高さを4m以上確保するとなると、5m以上級の竿になりますが、私が見つけることのできたものは、5.4m長で仕舞い長さ57cmでした。これは、デイパックの中には収まりませんが、その全長よりほんの少し長いだけですので、移動時はサイドポケットに挿しておけば邪魔にならないと思われました。ここでは、この5.4m竿を使った縮小版RFMD、名付けてRFMD-Sの実験結果(まだ途中ですが)を披露いたします。

2005年11月6日にこの実験をしてきました。KX1を使った場合の最小の設備(最軽量で飛びも満足できるもの)を考えていますので、アンテナとしては、7/10/14で問題なく使えることを目標としました。移動地点は、滝沢村総合運動公園下のバラ園。正面に池があり、鴨が沢山いました。13時頃までは晴天で日当たりもよく、気持ちよく実験できました。

移動運用では、このほか、本アンテナの元になったRFMD、ロープロファイルの10m長GP、JP6VCH松木さん開発の小型高性能アンテナ(VCHアンテナ)も使っています。詳しくは各ページをご参照下さい。

滝沢村総合運動公園へ登る道の脇にあるバラ園内のベンチで運用しました。

ちょうど、バラの棚で道から影になるため、目立たずに実験することが出来ました。

さすがにこの時期ですからバラはほとんど終わっていましたが、それでもまだいくつか咲いており、きれいでした。

カンカン照りの真夏でなければ、気持ちよく運用できるスポットです。


正面から見たところ。

竿はベンチに自転車荷台ゴム1本でくくりつけました。給電点は4.5mほどの高さがあると思います。このくらいの高さであれば、飛びはかなり期待できると思いましたが、実際その通りでした。

エレメント長とフィーダー長が短い(今回は片側10.5mと5m)以外、給電点やエレメント端の細工などは従来のRFMDと全く同じ方法です。


反対側を見たところ。

目の前に小さな池があり、電波の飛びが期待できます(???)。鴨が沢山いましたが、一斉に飛び上がったときには、しぶきが飛んできました。Hi



今回製作したRFMD-Sは、エレメント長は片側10.5m(両側全長21m)でリボンフィーダーは5m。KX1で使える一番下のバンドが7メガですので、7メガの半波長フルサイズを考えこのエレメント長にしました。フィーダーは、近くの量販電気店に5m長と3m長のリボンフィーダー切り売りが置いてありましたので、5m長としました。

これを5.4m長のグラス竿で建てるので、給電点は約4mから4.5m高になります。バランは1:1と4:1(コア2個使った正式版)を用意し、抵抗分やリアクタンス分の確認のためMFJ-269も持参しました。

結果は以下の通り。ただし、RsとXsは、風でフィーダーが揺れた場合は、値がふらつきましたので、±10%程度の誤差はあると思います。

1.バラン(チョーク)無し(リボンフィーダーから直接給電)
MFJ-269直づけでの読み KX1でチューン後のSWR
f(kHz) SWR Rs Xs
7004 18.5 968 284 1.0
10129 26.0 18 145 2.4
14043 11.7 18 93 1.1
2.1:1バラン(FT-82-77に6回巻きのコモンモードチョーク)使用時
MFJ-269直づけでの読み KX1でチューン後のSWR
f(kHz) SWR Rs Xs
7002 22.5 994 480 1.0
10120 20.7 16 120 2.5
14047 13.2 28 124 1.0
3.4:1バラン(FT-82-77を2個使ったもの:各々6回巻き)使用時
MFJ-269直づけでの読み KX1でチューン後のSWR
f(kHz) SWR Rs Xs
7003 5.1 222 95 1.5
10118 11.2 5 29 5.5
14050 12.7 4 34 6.1
4.4:1バランを逆向きにつけた場合(1:4でステップアップ状態)
MFJ-269直づけでの読み KX1でチューン後のSWR
f(kHz) SWR Rs Xs
7009 23.8 588 642 1.1
10125 31以上 58 312 1.0
14055 20.7 1045 229 1.0

1:1バランでどこまで使えるかが最初のポイントでした。2.の結果の通り、7メガと14メガのSWRが簡単に落ちるのは予想通り。10メガは電圧給電的なるのが分かっていましたから、SWRが2.5というのはある意味予想通りでした。10メガは、このSWRでもパワーはほぼフルにでましたし、6エリアまで飛びましたから、問題ないといえば問題ないと言えましょう。7メガでもJH1ARY黒田さん(河川敷へ移動してGPアンテナの実験中)と2way QRP交信できました(黒田さんは0.5W)。ただし、やっぱり10メガの整合状態がちょっと気になりましたから、4:1バランも試してみました。

ところが、3.の結果にあるように、Rsが低くなりすぎたようで、かえって整合が困難になってしまいました。原因が、Rsが低くなりすぎたためと考えられましたので、4:1バランを逆向きにつけてインピーダンスをステップアップしてみることにしました。

それが4.の結果ですが、MFJ-269で読んだSWRやRsはすごい値になっていますが、いとも簡単にKX1の内蔵チューナで整合がとれてしまいました。今回の結果では、この組合せがベストということになりますが、バランを逆付けでは平衡/不平衡変換が逆になっていますので、1:4でインピーダンスをステップアップし、なおかつ平衡/不平衡変換のできるバランを作る必要がありますね。トロ活でもよく読んで、どう作ればいいのか考えねばなりませぬ・・・ 

安直には、1:1バラン(コモンモードチョーク)で平衡/不平衡変換をした後に1:4のトランスを入れてステップアップすればいいのかなと思いますが、これでいいのでしょうか・・・

とはいえ、2.の1:1バランの場合でも、10メガは一応全く問題なく(表面上は?)使えますので、どっちにしようかな、と小さな胸を痛めて思案しているところです。

で、この結果をQRP-NETのRFMDスレッドで紹介したところ、JH5ESM cosyさんからは、アマチュア的には.の4:1バラン逆付けでも大きな問題はないのでは、とのコメントがありました。最終的にどうするかは、いずれまた報告いたします。では。


1:1バラン(コモンモードチョーク)をつないで実験中。リグはKX-1(出力3Wに調整)、電源は3.2Ahバッテリー。この日はお天気がいまいちだったので、荷物を減らすため、太陽電池パネルは持参しませんでした。

KX1はFT-817に比べて消費電流が遙かに少ないため、2.2Ahバッテリーでも十分と思われます。デイパック徒歩(電車)移動運用際は、軽量化のため、2.2Ahバッテリーを使うことも今後考えようかと思っています。


4:1バランを逆付けして、インピーダンスをステップアップしてKX1につなぎ込んで実験中です。赤黒の短い鰐口クリップ線は、今回の実験のために急遽製作しました。

今回の実験では、KX1で運用可能な7/10/14メガの整合状態は、この組合せがベストでした。この状態で、2エリアとも問題なく2way QRP交信できましたから、実用上問題ないようです。


その後、1:4バランを作り直して取り付け、現在はこのようになっています(2006年10月15日加筆)。


1:4ステップアップ用バランをフィーダ線下端に取り付けた様子(2006年4月29日撮影)。


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