2003年QRPエコデイ運用状況
2003年10月19日(日)、JE2CDC 木屋川内さんの発案により、「QRPエコデイ」が開催されました。これは、「みんなで地球環境に配慮しながら移動運用を楽しむ」ことを目的とした、自然エネルギーを電源にしてアマチュア無線を楽しもうというイベントです。移動の形態は、人力(徒歩、自転車)や公共交通機関など地球環境に優しい方法が推奨されています。私も、この主旨に賛同し、今回移動運用を行いました。その様子をご紹介しましょう(2003年10月20日記載)。
今回ののQRPエコデイは、自宅から自転車で20分ほどの「滝沢村総合運動公園」へ移動しました(岩手県岩手郡滝沢村JCG03002E)。現地での運用は、11:20頃から14:20頃まで行いました。お天気は晴れ、風もほとんどなし、と言った移動運用日和でした。
出発前の風景
自転車は、かつての単身赴任先(習志野)で、リサイクルショップで5千円で買った中古のママチャリです。
前籠:FT817,バッテリー、お昼(菓子パン2個とミカン1個)、ステンボトル水筒(ホット紅茶入り)、Radix VDP用のバラン、短縮コイルなど
後ろ荷台:同軸(3D2V:20m×1、15m×1、8m×1)を手提げ袋に、その他(太陽電池パネル、テスター、RF-1、KX-QRP、電線(エレメント、ラジアル用)、荷台ゴムひも、工具類、免許証、ログブック、デジカメ、予備電池など)をデイパックに入れてゴムひもで縛った
子供用スキーケース:PG-ANT-100(10m長グラス竿)、4m伸縮ポール、Radix VDP(RD-S106)エレメントを入れて、背負った
見ての通りの重装備でした。さながら戦艦大和でしょうか(でかくて重くて、結果的には不要なものばかり・・・)。
アンテナ:
QRPでの移動運用はアンテナの放射効率がポイントではないかと考えました。そこで、当初の予定では、7/10/14/18メガ用フルサイズ
ギボシ接続ダイポールを作る予定だったのですが、前日が雨だったため、結局作れませんでした。結局、当日は、公園内の小川に架かる橋の手すりに10m長グラス竿(PG-ANT-100)を仮設し、アンテナカップラー(KX-QRP)を使ってGPにしました。エレメント長は10m、ラジアルは10mを3本。7メガはフルサイズですので、抜群のアンテナでした。
7メガでは、関東エリアのQRP移動局が軒並み589で聞こえましたし、こちらも579〜589をいただきました。10メガ、14メガも問題なくtuneがとれ、快適に使えました。大満足です。
重い思いをしてせっかく持っていったRadixのVDPと4mメタルポールは、結局使いませんでした(必要がなかった)。次回からは荷物を減らせますから、公園までの登りももっと楽になるでしょう。
アンテナ仮設状況
滝沢村総合運動公園には、陸上競技場、野球場、テニスコートなどのほか、その間や周辺に、自由広場や日本庭園、バラ園、ロックガーデンなどがあります。今回は、自由広場横のロックガーデンで運用しました。
ロックガーデンの中心には人工の滝があり、そこから流れる小川に架かる橋の欄干にPG-ANT-100をくくりつけ、GPにしました。運用は、正面に見える東屋で行いました。滝に水を送るポンプのノイズはどうかと最初心配でしたが、全く問題ありませんでした。
グラスロッドの取り付けとアンテナカップラーほか設置状況
グラスロッドは、100円ショップで買った自転車用荷台紐2本で橋の欄干にくくりつけました。木の橋だったので、電気的な干渉を受けず、アンテナ仮設にはもってこいでした。
ラジアルは特に固定せず、放り投げただけでしたので、風で動いていましたが、アンテナの同調がずれることもなく、問題なく使用できました。3本も使うと電気的にも安定するのでしょうか。
エレメント線は、100円ショップで売っているゴム紐(パンツの替えゴム)を10cm程度に切っておき、それを使って、一節ごとに蝶結びにしました。外すときは引っ張るだけでとれますから便利です。以前、JG1RVN加藤さんがQRPプラザで紹介された方法でした。
カップラーの調整は、RF-1でSWRを見ながら行いました。エレメント長が10mですから、14メガだと電圧給電になるので、うまく調整がとれるか心配でしたが、案外簡単に調整がとれました。ただし、人間の影響受けやすいようで、距離を離して再確認するとSWRが変わっていました。なお、電流給電になる7メガや、その中間の10メガではこのような影響はありませんでした。
リグはFT817で、7メガ、10メガ、14メガCWを1W/2.5Wで運用しました。電源は、太陽電池パネル(4.5W、定格最大電流250mA)と鉛シールバッテリー(3.2Ah)を使いました。お天気が抜群に良かったこともあり、日が差しているときは充電電流200mA流れていました(曇ると20〜50mA程度でした)。
なお、FT817は受信時の電流が250mAも流れます。このため、バッテリーでの移動運用は消耗が大きく長時間は難しいようです。今回はお天気が良かったので、太陽電池からの電流で受信時電流の大半をまかなえましたが、それでもバッテリーは消耗したわけです。その点、エレクラフトのK1は受信時電流50mAと言うことですので、この日のような陽気であれば、受信時はバッテリーをフローティング充電しながら運用できるので、うらやましいところです。
東屋内での運用
リグはFT817(1Wまたは2.5Wで使用)。電源は、太陽電池+鉛シールバッテリー。
お天気がよく、充電電流がかなり流れていましたので、バッテリーの消耗は最小限でした。このため、最後まで送信時で11.5V以上の電圧でした。817内蔵バッテリーもフル充電していきましたが、出番は無し。
パドルは超小型軽量のBD2,ログはB5サイズのJARLログブック
散歩やピクニックを楽しむ親子連れ、若いカップルなどが多く、時々怪訝な顔をされましたので、逆にスピーカーを使ってモールス音を鳴らしながら運用していました。アマチュア無線をやってます、ということで。
運用結果:
交信結果は以下の通りです。 全部で16交信でしたが、ダブりがあるので局数的には15局でした。
バンド 交信数 QRP局 QRP移動局
7 メガ 7交信 4交信 3交信
10 11 5 4
14 1 1 1
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合計 16交信 10交信 8交信
(15局) ( 9局) ( 7局)
交信できたQRP移動局:
7メガ:JH1ARY/M/QRP、JA1KEG/1/QRP、7K4VQV/1/QRP
10メガ:JK1TCV/1/QRP、JA5DIM/5/QRP、JH4GCN/4/QRP、JR0QWW/0/QRP
14メガ:JA5DIM/5/QRP
JA5DIM/5/QRP林さんとは2バンドで交信できました(実際は10メガから14メガへQSYをお願いした)。
このエコデイに合わせて、発案者のJE2CDC木屋川内さんとJP6VCH松木さん、JR6BKX南さんは九州阿蘇方面に集団自転車移動を敢行しました。名付けて「九州銀輪隊」(JR3ELR吉本さんの命名)。私も、前日の土曜(10月18日)に、JE2CDC/6/QRP、JP6VCH/6/QRPと10メガで交信に成功していました。
しかし、この日は、残念ながら、九州銀輪隊とは交信できませんでした。信号も確認できず。14メガは、プロパゲーションのチェックのため、DIMさんに10メガからQSYして頂いた1交信だけでしたが、遠距離に対しては、明らかに10メガより14メガの方が開いており、信号はがつんと強くなりました。九州銀輪隊とは14メガなら0.5Wでも確実に交信できたでしょうに・・・・ 残念ですが、次回の課題となりました。
という結果でしたが、お天気もよく、大変楽しめました。企画いただいたJE2CDC木屋川内さん、有り難う。当地は午後2時を廻るとかなり寒くなり、パドルを打つ手が言うことを聞かなくなりそうでした。次回はもう1,2週早い時期がいいかも知れませんが、日本は広いですからこちらの都合ばかり言えませんね。
では。