心に刻んでいる言葉


●実るほどに頭(こうべ)を垂れる稲穂かな

 人が威張り散らしているところを見るのはあまり気持ちのいいものではありません。そんな人に限って、自分より立場の高い人の前に出ると卑屈になってしまうことが多いようです。50年近い人生の中でこのようなことを何度も見てきました。その中で、経験を通して、常に謙虚であるべきことを知りました。人の和というのはそのような日頃の態度から生まれてくることを知ったわけです。30歳をだいぶ過ぎた頃に社内報で見かけた言葉ですが、味わいのある言葉だと思っています。


●少水の常に流れて、すなわちよく石を穿つ(うがつ)が如し

 仏教史の泰斗である鎌田茂雄先生(東京大学名誉教授)の「いのちの探求」(NHK教育テレビ「こころの時代」テキスト:1999年4月から2000年3月放送)の中で紹介されていました。これは「遺教経(ゆいきょうぎょう)」というお経の中に書かれている言葉だそうですが、お坊さん達はこの言葉を胸に刻んで修行に励んだそうです。一番よく例に出されるのは、奈良の元興寺にいた明詮(789〜868年)だそうです。
 明詮は元興寺で一生懸命勉強したのですが、ちっとも身につかない。あきらめて勉強をやめようと思い、寺を出ようと山門のところまで来ると雨が降ってきた。雨宿りに山門の下にたたずんでいると、山門の屋根から水滴がポタリポタリ落ちて、その水滴が石に穴を開けていた。それを見ていた明詮は、ハッと「遺教経」の言葉を思い出した。柔らかいものが固い物を穿つのは漸積(ぜんせき:長い積み重ね)のしわざであることを悟り、「我昏愚(こんぐ:道理に暗く、愚かなこと)なりといえども、あに止むべけんや」と猛反省して、寺から出ることをやめ、再び勉学に励んで、後には法相宗の学僧で大僧都にまでなったということです。
 明詮が大成したのは、自分自身をあきらめずに勉強を続けたからであり、遺教経のこの言葉が彼の大きな支えになったのでしょう。勉学に限らず、何事を行うにも、毎日毎日の少しずつの積み重ねが大切であることを改めて教えてくれます。私も、今からでも遅くないと思い、心に深く刻んだ次第です。


●常日頃

 短いですが、これも味わい深い言葉です。ちりも積もれば山となると言いますが、上に挙げた「少水の常に流れて・・・」と同様、コツコツと積み上げることの大切さを、この歳になると実感として思うものです。
 東北大学工学部にある石碑に刻まれている言葉ですが、故大谷茂盛総長がいつもおっしゃっておられた言葉だそうです。


●才能とは最後まであきらめないことだ

 延べ30人のタイトルホルダーを育てたプロ野球のバッティングコーチであった高畠導宏さんの言葉。最近、うちの子供によく言っていることです。
 新聞に紹介された書評に出ていました。本買ってなくてすいません。


●つもり違い十箇条

  1. 高いつもりで低いのが教養
  2. 低いつもりで高いのが気位
  3. 深いつもりで浅いのが知恵
  4. 浅いつもりで深いのが欲望
  5. 厚いつもりで薄いのが人情
  6. 薄いつもりで厚いのが面の皮
  7. 強いつもりで弱いのが根性
  8. 弱いつもりで強いのが自我
  9. 多いつもりで少ないのが分別
  10. 少ないつもりで多いのが無駄

 中学時代の恩師である本江 進先生(国語の先生で、中三の時の担任)が、永平寺でご覧になられて以来座右に刻んでおられる言葉、ということで教えていただきました。確かに思い当たる節の多い言葉ばかりです。


●海外業務での心がけ

  1. あわてず
  2. あせらず
  3. あきらめず
  4. あてにせず
  5. あたまにこず

 他社の海外経験豊富な方から教えられた言葉です。発展途上国や旧ソ連・東欧圏でプロジェクトを行うことは、日本で同じようなプロジェクトを行うのとは大違いです。契約やスケジュールなどの約束が守られなかったり、口ばっかり達者でさっぱり実務が進まないとかの話は無数にあります。いちいち腹を立てていてはきりがないのですが、さりとて放り出して逃げ出すわけにも行きません。そんな時はこれを思い出して、じっと我慢しながらとにかく進めていくしかないわけです。サラリーマンは悲しからずや・・・・・


●技術おじんの定義

  1. 自分では独創的なことはやらない
  2. 自社の中で非常に独創的な技術が出て来ても、それに感動しない

2003年7月22日放送のプロジェクトX「復活の日 ロボット犬にかける」で、SONYの土井利忠さんが言っておられた言葉です。自分では何もせず、他人の家の芝生ばかり青く見えてしまう、クリエイティブとは正反対の状態ですね。我と我が身をふと振り返ったものです。(2003年07月24日加筆)


(付録)確かにそうだなぁ、と思ったことわざなど

 「心に刻んでいる」というのではないのですが、50年近くも生きていると、確かにそうだなぁ、と思うことが何度かありました。そんなことわざなどをご紹介します。

●人間至る所青山あり
 「にんげん」と読むのではなく「じんかん」と読め、と教わった時は実感も何もなかったのですが、会社勤めを始めて十年ほど経ったときに、確かにそうだったと思った次第です。「自分のやりたい仕事」とか「自分にあった仕事」とか言う人がよくいますが(特に若い人)、それはあくまで結果なのではないか、と思う次第です。最近読んだ岩崎峰子さんの「祇園の教訓」には、「自分に性格にあっていない仕事だったから、意識して努力して、自分を高められた。最初から自分のやりやすい仕事をしていたら、ここまで自分を高めることは出来なかっただろう」というようなことが書いてありました。確かにそうかもしれませんね(2003年10月20日追記)。

●禍福はあざなえる縄のごとし
 特に説明することはありません。まぁ、人生いいことばかりではありませんが、悪いことばかりも続かない、と言えましょうか。と、ここまで書いたところで、「人生の並木道」なんて歌を思い出しました。なんでこんな古い歌知っているんだろう(カラオケで歌えてしまう・・・)。年齢的にはだいぶ離れているはずなのですが・・・・(2003年10月20日追記)。


●最近の子供特徴

・興味がないことはさっぱり覚えられない
・単純ミスが多いのに、「本当はできる」と反省しない
・できなくても個性と、投げ出している
・自分の考えを文章にまとめられない
・コツコツ積み上げられない
・すぐに親や友人に頼る
・計算が遅くて不確実
→仕事が遅くて不確実
・自分で調べることができない
・間違いを指摘すると、すぐにふてくされる
・字が汚くてとても読めない
・教えられたことはできても応用ができない
・夏期講習の成果が全く表れない
→研修や講習の成果が全く表れない
・好きな教科と嫌いな教科の差が激しい
→好きな仕事と嫌いな仕事の差が激しい
・わからないことを先生に聞けない
→わからないことを人に聞けない
・自由研究のテーマが見つからない
→進んで取り組むべきテーマ(仕事)が見つけられない

プレジデントFamily 2008年9月号より。

 なお、「→」の部分は私の追記です。誰しも思い当たるところがあるかも知れません。私もそうです。それに、大人になってみれば、「興味がないことはさっぱり覚えられない」のはある程度しょうがないところもあるのは事実です。でも、子供のうちは色々なことを勉強しておいて欲しいものですね。ある日突然思わぬところで役に立つことがある、というのもまた事実ですから。(2008年7月30日追記)


楽天野村監督がヒンズー教の教えをアレンジして選手に教えている言葉、とのこと(2008年11月23日追記)。


●6つのTで失言防止

 自民党の伊吹文明・元幹事長が首相らの相次ぐ失言を受けて、「失言をしないコツ」を披露した・・・

  1. 「正しい」と思いこんで不要な発言をする
  2. 「立場」をわきまえず、言ってはいけないことを言う
  3. 人を見下すような「態度」を取る
  4. 話す「タイミング」を間違える
  5. 「旅先」で気がゆるむ
  6. 笑いを取ろうと「例え話」をする

確かに思い当たる節のあることばかりです。2008年12月12日 読売新聞の囲み記事より(2008年12月14日追記)。


●仮説

「仮説というものは、結果で評価されるべきものではあるまい。むしろ、多くの人を駆り立てた魅力の程度で評価されるべきであろう。」

中山茂「火星人はタコ坊主」より(「思い違いの科学史」朝日新聞社刊)(2009年7月1日追記)


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